コラム(1)

リカバリーの支援について

リカバリーに辿り着いた女性たちの複雑に絡み合った糸(困難や課題)をひもとき、自身の快復*について考えるためには、まずはじめに「安心・安全な場にいながら、さまざまな体験や支援者との関わりを通して自分に何が起きているか気づいていくこと、そして からだとこころ・生活を整えていくこと」が必要です。

リカバリーでは、さまざまな角度から本人を理解して支援内容を考え、包括的(全体的)な支援を行っていくために、多くのプログラムを準備しています。すべてのプログラムを受けるという訳ではなく、一人ひとりその人に合った形(オーダーメイド)の支援を行っています。

快復支援のイメージ

*快復:決して消えないトラウマによる傷を抱えながら、より安全な依存先を増やしていく道のり。単純な「回復」とは異なる。

今回のコラムではリカバリーが行っている「日中活動について」概要をご紹介します。

日中活動について

日中活動の場であるトラヴァイユ・それいゆでは、女性に特化したさまざまな快復支援プログラムがあります。

① 就労訓練

就労継続支援 B 型としても珍しく、カフェ(調理、仕込み、食器洗い、ホール業務)、畑(栽培〜加工〜販売)、委託作業(封入作業、清掃作業)などさまざまな種類の作業を経験することができます。作業工程を通して、自分の得手不得手を知ることや規則正しい生活を整えていくことに役立ちます。

カフェでの作業風景

カフェや野菜の販売などを通して、地域社会とのつながりをもつこと、地域の活動に参加することを大切にしています。

② グループワーク(言語プログラム)

自分に起きていることを言語で表現できると、対処法が明確になったり、周りの人に相談できるようになります。素直に他者の話を聞いて、正直に自分のことを話す練習になります。そうすることで、自分の言葉を見つけ、養い、自分に起きていることを表現できるようになることを目指します。

また、普段生活していると考えることがないことをテーマにして、視野を広げて物事を考える力を養うことができます。

③ 創作活動(非言語プログラム)

言葉にはできない思いや気持ちをアート作品に映します。普段気づくことができない新たな一面を知るきっかけになります。苦手だと決めつけていたことが、実は好きだったかもしれないと気づく経験をされるメンバーもいます。

創作活動の様子

④ からだを整える(非言語プログラム)

「食から快復していく」ことを大切にしており、手作りで栄養価の高い食事を提供しています。また、外部講師によるソマティクス(ボディワーク)で、自身のからだを認識すること、筋肉を緩めてからだを休める術を学ぶことができます。

ソマティクスとは、脳科学に基づいた、動きと感覚を意識しながら身体を動かす、運動と感覚のトレーニングです。筋肉の緊張をほぐし、身体の弾力性・柔軟性を取り戻すことができます。

これらを一人ひとりに合わせて、組み合わせていきます。全国的にもユニークな取り組みですので、興味がある方はぜひまたのコラムを楽しみにしていてください。

コラム(2)

リカバリーが大事にしていること

NPO法人リカバリーは、女性たちの生活をトータルで支えるため、住居、就労、相談支援を行っています。

全国津々浦々、家族や支援者からの相談で最も多いのが、『リカバリーハウス』への入所についてです。リカバリーハウスは、一軒家タイプのグループホームです。

リカバリーハウスの様子

例えば、刑事施設から地元に帰るとクスリを使っていた時のコミュニティに容易に繋がってしまうため環境をガラリと変えた方が良いと思われるケースや、被害を受けていた相手から離れたいケースなど、切実な事情を抱えた方々が繋がってきます。ここでは、スタッフが目の当たりにする一人ひとり異なる生活の実態と、そこへの寄り添いについてご紹介します。

ケーススタディ

Aさんのケース(発達障害を抱える30代女性)

Aさんには多くの「マイルール」がありました。入浴に1時間以上の手順を要することや、手持ち金がなくてもイベントへ行かなくては気が済まないといった特性です。スタッフが注意してもすぐに忘れてしまうこともありますが、周囲は「Aちゃんだから仕方ないね」と寛容になってしまう、不思議な愛されキャラでした。

Bさんのケース(発達障害と性被害体験を抱える20代女性)

お酒と市販薬のOD(オーバードーズ)を繰り返していたBさん。一度は一人暮らしを始めましたが、社会への不適応感から再びODする事態となり、「自分一人ではもうどうにもできない」と再入所を決めました。現在は自助グループに参加し、仲間と体験を共有しています。

Cさんのケース(抑圧経験を抱える20代女性)

「親の敷いたレールを歩いてきた」というCさん。SNSやキャッシュレス決済に精通し法人のSNS運用の相談役でもありますが、酔うと無意識に大量の酒や薬を買ってしまうトラブルを繰り返していました。現在は自分自身の「したいこと」を見つける道のりにいます。

※本コラムの事例については、本人が特定されないよう複数の事例を組み合わせて作成しています。

生活の様子を見るということ

どのように食事や休養を取り、どのように夜の時間を過ごすか。生活の様子を細かく見ていくことで、なぜ彼女たちがアルコールや薬物を必要としていたか、その背景が垣間見える瞬間が多くあります。

旬の野菜たっぷりの食事

リカバリーハウスは、『嵐の中』を生き抜いたその後を過ごす場所です。アディクションを手放そうとするとき、借金や未整理の現実と向き合う重圧が襲ってきます。まずは安全な空間で栄養バランスのとれた食事をとり、眠り、医師や弁護士などの専門家と共演しながら、複雑に絡み合った問題をシンプルにする手伝いをします。

一つ屋根の下で過ごす煩わしさもありますが、ドア一枚を隔てた先に誰かの気配を感じられること。そして他者との生活の中で自らの課題が露呈すること。それこそが良質な「快復*の土壌」となるのです。

年越し会の様子

彼女たちはとてつもなく大変な「嵐」をくぐり抜け、「嵐の後」を生き延びようとしています。私たちは彼女たちの暮らしから、この先の人生をどう生き延びていくかを教わっています。

活動を詳しく知る

コラムの内容や、リカバリーの支援方針について、
さらに詳しく知りたい方は資料請求やお問い合わせをご利用ください。